企業戦士へ、
英語の会議では、声の大きい人が話し続ける。発言するのは、いつも同じ2〜3人。残りの人は、カメラをオフにして黙っている。
その黙っている人の中に、昔の自分がいた。言いたいことはある。でも、割って入る隙がない。誰かが振ってくれたら言えるのに。そう思いながら、会議が終わる。
だから、会議のオーナーになったら、意見を求める側に回るべし。英語で人に意見を求めるのは、思っているよりずっと簡単だ。言うことは、ほぼ決まっている。
英語で意見を求めるのは、日本人が得意な仕事
アメリカの会議では、黙っている人は「意見がない人」と見られがちだ。でも実際は、考えがまとまるのを待っているだけの人も多い。
その気持ちが一番わかるのは、英語の会議で黙ってしまった経験のある人だ。どこで振られたら答えやすいか。どう聞かれたら固まるか。身をもって知っている。この経験は、そのまま強みになる。
一番いいアイデアは、だいたい静かな人が持っている。それを会議の中に引っ張り出すのが、意見を求める英語だ。
意見を求める英語フレーズ、最初に鍛える3つ
| 型 | フレーズ | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 名指しで振る型 | Kenji, what's your take? | ケンジ、どう思う? | 特定の人の意見が欲しい時 |
| 全体に開く型 | I'd like to hear from people who haven't spoken yet. | まだ発言していない人の意見も聞きたいです | 同じ人ばかり話している時 |
| 反対を引き出す型 | Does anyone see it differently? | 違う見方の人はいますか? | 決める前、全員がうなずいている時 |
1. "Kenji, what's your take?" 名指しで振る型
"take" は「見方、意見」。"What do you think?" より、その人ならではの視点を聞いている感じが出る。
答えやすい振り方には順番がある。名前、理由、質問の順だ。
Kenji, you've worked with this client the longest. What's your take?
(ケンジ、このクライアントと一番長く仕事しているよね。どう思う?)
名前を呼ばれた瞬間に、相手は「次は自分だ」と構えられる。理由を聞いている数秒の間に、頭の中で答えを準備できる。質問が最後に来る時には、もう口を開く準備ができている。
逆に "What's your take, Kenji?" と名前を最後に言うと、質問の中身を聞き流した後で、急に名前を呼ばれることになる。これが、頭が真っ白になる瞬間を作る。
2. "I'd like to hear from people who haven't spoken yet." 全体に開く型
誰も名指ししないので、誰も責められた感じがしない。話し続けていた人は一歩引き、黙っていた人は「今なら話していい」と感じる。
それでも沈黙が続く時は、最後に一人の名前を足す。
Before we decide, I'd like to hear from people who haven't spoken yet. Lisa?
(決める前に、まだ発言していない人の意見も聞きたいです。リサはどう?)
全体に開いてから一人に振ると、名指しの圧が弱まる。「あなたが黙っていたから」ではなく、「みんなに聞いている流れで」になるからだ。
3. "Does anyone see it differently?" 反対を引き出す型
全員がうなずいている時ほど、危ない。本当に賛成なのか、反対を言い出しにくいだけなのか、外からは区別がつかない。
We seem to agree on option A. Does anyone see it differently?
(A案で一致しているようですが、違う見方の人はいますか?)
"Any questions?" だと「質問がある人=わかっていない人」に聞こえて、手が挙がらない。「違う見方」を聞くと、反対していいという合図になる。会議の後で「実は反対だった」と言われるより、会議の中で出てくる方が百倍いい。
意見を求める英語を、さらに積み上げる
3つが反射で出るようになったら、次はこのあたりを足すべし。
Here's my plan for the rollout. What am I missing?
(展開の計画はこうです。何か抜けているところはありますか?)
自分の案に穴を探してもらう一言。「完璧ではない」と最初から認めているので、相手は指摘しやすい。上司が使うと、部下が本音を言いやすくなる。
Lisa, anything to add?
(リサ、何か付け足すことはある?)
軽く振りたい時はこれ。"take" ほど重くないので、会議の終わりの確認や、話がほぼまとまった後に向いている。
I'd appreciate your input on the draft by Friday.
(金曜までに、ドラフトへのご意見をいただけると助かります)
メールやチャットで意見をもらう時の定番。"input" は「意見、インプット」。期限を添えると、返事が来る確率が上がる。会議ではその場で話せない人も、文章なら意見をくれることが多い。
10分の英語筋トレメニュー
読んだだけでは、会議で1ミリも出てこない。沈黙が来た瞬間に口が動くまで、体に入れるべし。
- 上の3つの例文を、それぞれ声に出して30回。1文30回で3〜4分、3文で10分。朝、家を出る前に終わる。
- 名前と中身を自分の案件に入れ替えて、自分用の3文を書く。それも30回。
- 次に自分が主催する会議で、まだ発言していない人に、必ず1回振る。言えなかったら、その日の夜にもう30回。
ゴールは、覚えることではない。考える前に "Kenji, what's your take?" が出ている状態。英語が筋肉の一部になっている状態だ。
振られて救われる人が、会議に必ず一人いる
名前を呼んで振った相手が、思いもよらない視点を出してくる。会議の空気が変わる。その瞬間のために、意見を求める英語を鍛える価値がある。
振られて救われる人は、昔の自分と同じように、会議のどこかで黙っている。
筋肉は裏切らない。
会議を始めてから締めるまでの進行全体は、英語会議の進行フレーズにまとめた。
