企業戦士へ、
英語に自信がない人ほど、数字を使うべし。発音も文法も関係なく、"20%" は誰にでも伝わる。
会議で一生懸命に意見を言った。みんな軽くうなずいて、話は次へ進む。少し後に、同じことを別の人が言うと、なぜか採用される。悔しい。めちゃくちゃ悔しい。
その差は、英語の流暢さとは限らない。意見に数字がついていたかどうかであることが多い。
英語の会議では、数字のついた意見が通る
アメリカの会議では、"I think..." で始まる意見より、数字のついた意見のほうが圧倒的に通る。感想ではなく、事実の話になるからだ。
数字は、英語の弱さを補ってくれる。言い回しが多少ぎこちなくても、"20 hours a month" の重みは変わらない。むしろ、短い英語に数字が1つ乗っているほうが、聞く側には伝わりやすい。
ただし、数字は出し方を間違えると逆効果になる。根拠のない数字は突っ込まれるし、いい数字だけを並べると信用されない。数字の出し方には型がある。
ビジネスで数字を説明する英語フレーズは、3つずつ積み上げる
フレーズ集を一度に全部覚えようとしても、本番では出てこない。今週の会議で使う3つを、反射で言えるまで唱える。来週、また3つ足す。
最初に鍛えるのは、意見に数字を乗せるこの3つだ。その下に、数字をもっと効かせる一言を足しておいた。
| 型 | フレーズ | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 根拠から入る型 | Based on last quarter's numbers, ... | 先期の数字を見ると… | 意見を言う前 |
| 効果を言う型 | That would save us about... | それで、だいたい…の節約になります | 提案をする時 |
| リスクを言う型 | The downside is roughly... | マイナス面は、ざっと…です | 提案の弱点を自分から出す時 |
| 比べる型 | That's up 15% from last year. | 前年より15%増えています | 数字の変化を伝える時 |
| 置き換える型 | To put that in perspective, ... | 別の言い方をすると… | 数字の大きさを実感してもらう時 |
| 確認を約束する型 | I'll double-check the numbers and get back to you. | 数字を確認して、また連絡します | その場で数字が出ない時 |
数字で意見を通す3つの型
1. "Based on last quarter's numbers, ..." 根拠から入る型
意見の前に、根拠を置く。"I think" で始めると個人の感想に聞こえるが、これで始めると、同じ意見でも重みが変わる。
"last quarter" の部分は、"last month's" でも "the survey results" でもいい。数字の出どころを最初に言う、というフォームを体に入れるべし。
Based on last quarter's numbers, most of our new customers came from referrals.
(先期の数字を見ると、新規顧客のほとんどは紹介経由です)
2. "That would save us about..." 効果を言う型
提案には、得をする数字を必ずつける。時間でも、お金でも、人手でもいい。"about" をつければ、ざっくりで構わない。
「便利になります」では、誰も動かない。「月に20時間浮きます」で、人は動く。
If we automate the invoicing, that would save us about 20 hours a month.
(請求業務を自動化すれば、月にだいたい20時間の節約になります)
3. "The downside is roughly..." リスクを言う型
いい話だけをする人は信用されない。悪い数字も自分から出すと、かえって信頼される。"roughly" で、概算だと断っておける。
突っ込まれる前に自分で出しておけば、議論の主導権も手放さずに済む。
The downside is roughly two weeks of delay on the launch.
(マイナス面は、ローンチがざっと2週間遅れることです)
数字をもっと効かせる英語の一言
4. "That's up 15% from last year." 比べる型
数字は、比べた瞬間に意味を持つ。"up" と "down" に、比べる相手を "from" でつなぐだけでいい。
Sign-ups are up 15% from last year, mostly from the new referral program.
(登録数は前年より15%増えています。ほとんどが新しい紹介プログラム経由です)
5. "To put that in perspective, ..." 置き換える型
大きな数字は、聞く側にピンとこない。身近な単位に置き換えると、一気に伝わる。
We spend $120,000 a year on this tool. To put that in perspective, that's the cost of one full-time engineer.
(このツールに年間12万ドル使っています。別の言い方をすると、エンジニア1人分の人件費です)
6. "I'll double-check the numbers and get back to you." 確認を約束する型
数字を聞かれて、その場で答えられない時もある。ここで適当な数字を言うのが一番まずい。確認して後で送ると言えば、信用は落ちない。
I don't have the exact figure with me. I'll double-check the numbers and get back to you by tomorrow.
(正確な数字が手元にありません。確認して、明日までにご連絡します)
英語で数字を言う時に詰まる、桁の壁
日本語は4桁ごとに単位が変わるが、英語は3桁ごとだ。ここで頭の中の計算が始まると、口が止まる。
- 1万 = ten thousand
- 10万 = a hundred thousand
- 100万 = one million
- 1000万 = ten million
- 1億 = a hundred million
- 10億 = one billion
全部を覚える必要はない。自分の仕事でよく出る桁だけ、例文に入れて唱えておくべし。計算せずに口から出るようになれば、桁の壁は消える。
10分の英語筋トレメニュー
ここからが本番だ。読んだだけでは、会議で1ミリも出てこない。
- 上の3つの型の例文を、それぞれ声に出して30回。1文30回で3〜4分、3文で10分。朝、家を出る前に終わる。
- 名前と中身を、自分の案件に入れ替えた3文を書く。それも30回。
- 次の会議の前に、使えそうな数字を3つメモしておく。意見を言う時は、必ず1つつける。言えなかったら、その日の夜にもう30回。
ゴールは、覚えることではない。考える前に口が動く状態。英語が筋肉の一部になっている状態だ。
数字は、英語の弱さを補ってくれる
流暢な英語で語る同僚を、横で見ているのはしんどい。でも、流暢さで勝負する必要はない。数字を1つ持って会議に入るだけで、戦い方が変わる。
筋肉は裏切らない。
提案そのものを通す英語は、英語会議で提案する時のフレーズにまとめた。
