企業戦士へ、
英語の会議で、話が途中から聞き取れなくなる。周りはうなずいている。自分もとりあえずうなずく。そして最後に "Does that make sense?" と聞かれて、反射で "Yes" と言ってしまう。
わかっていない。全然わかっていない。
会議で一番まずいのは、この「わかったふり」だ。あとで話が噛み合わなくなって、信用を失う。しかも、もう一度聞くタイミングはどんどん遠ざかる。
英語の会議でわからない時、黙るのが一番高くつく
聞き返すのは、恥ずかしいことではない。ネイティブ同士の会議でも、聞き返しは毎日のように起きている。早口の人、専門用語、回線の乱れ。聞き取れない理由はいくらでもある。
逆に、うまく聞き返す人は、議論を深めた人として見られる。自分が聞き返したことで、実は周りもよくわかっていなかったと判明する。そんなことも珍しくない。
ただし、"Sorry, could you repeat that?" だけでは、聞き取れなかった人で終わる。同じ話をもう一度、同じ速さで聞くことになる可能性も高い。聞き返し方には型がある。
英語で聞き返すフレーズ、最初に鍛える3つ
| 型 | フレーズ | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| もう一度説明してもらう型 | Could you walk me through that? | 順を追って説明してもらえますか? | 話の流れごと見失った時 |
| 二択で確かめる型 | Just to clarify, are we talking about X or Y? | 確認ですが、XとYのどちらの話ですか? | だいたいわかるが、どちらか迷う時 |
| 具体例をもらう型 | Can you give me an example? | 例を挙げてもらえますか? | 抽象的な話についていけない時 |
1. "Could you walk me through that?" もう一度説明してもらう型
"walk me through" は「一歩ずつ案内する」感覚。"repeat" と違って、理解を深めたいという姿勢に聞こえる。
Sorry, I missed part of that. Could you walk me through the new approval process?
(すみません、少し聞き逃しました。新しい承認の流れを、順を追って説明してもらえますか?)
最初に "Sorry, I missed part of that." と一言添えるのが、丁寧に聞き返すコツだ。自分の聞き逃しとして引き取るので、相手の説明が下手だったという空気にならない。しかも "walk me through" と頼まれた相手は、たいてい、さっきよりゆっくり、順番に話してくれる。
2. "Just to clarify, are we talking about X or Y?" 二択で確かめる型
全部わからないわけではない。でも、どっちの話なのか確信が持てない。英語の会議で一番多いのは、この状態だ。
Just to clarify, are we talking about this quarter or next quarter?
(確認ですが、今期の話ですか、それとも来期の話ですか?)
選択肢を出すので、相手は一言で答えられる。自分でも、何がわからないのかが絞り込める。そして「今期と来期で、実はみんな違う前提で話していた」と判明すれば、会議を救ったのは自分だ。
3. "Can you give me an example?" 具体例をもらう型
"alignment"、"synergy"、"scalable"。抽象的な言葉が続くほど、英語では聞き取りにくい。例が出ると、一気にわかる。
That makes sense in theory. Can you give me an example from last month?
(理屈はわかります。先月の例を挙げてもらえますか?)
"That makes sense in theory." を先に言うと、反論ではなく「もっと具体的に知りたい」と伝わる。具体例を引き出した人は、議論を地に足のついたものにした人として評価される。
聞き返すフレーズを、さらに積み上げる
3つが反射で出るようになったら、次はこのあたりを足すべし。
Sorry, I didn't catch the last part.
(すみません、最後のところが聞き取れませんでした)
ほとんど聞き取れたのに、最後だけ抜けた時はこれ。全部をもう一度言ってもらう必要はない。
Sorry, you cut out for a second. Could you say that again?
(すみません、一瞬音声が途切れました。もう一度お願いできますか?)
オンライン会議の定番。"cut out" は「音声が途切れる」。回線のせいにできるので、気軽に使える。ただし、本当に途切れた時だけにすべし。
When you say "alignment," what do you mean exactly?
(「アラインメント」というのは、具体的にどういう意味ですか?)
言葉の意味がわからない時。単語の意味を聞いているようで、実はその人がどういう意図で言っているかを聞いている。ネイティブ同士でも、この質問はよく出る。
Let me make sure I understand. You're saying we should delay the launch?
(理解が合っているか確認させてください。ローンチを遅らせるべき、ということですか?)
自分の理解を言い換えて確かめる一言。合っていれば "Exactly." で終わる。違っていれば、その場で直してもらえる。
10分の英語筋トレメニュー
読んだだけでは、聞き取れなかった瞬間に1ミリも出てこない。頭が真っ白になっても口が動くまで、体に入れるべし。
- 上の3つの例文を、それぞれ声に出して30回。1文30回で3〜4分、3文で10分。朝、家を出る前に終わる。
- 名前と中身を自分の案件に入れ替えて、自分用の3文を書く。それも30回。
- 次の会議で聞き取れなかったら、わかったふりをせず、どれか1つを必ず使う。言えなかったら、その日の夜にもう30回。
ゴールは、覚えることではない。「わからない」と感じた瞬間に "Just to clarify" が出ている状態。英語が筋肉の一部になっている状態だ。
わかったふりの方が、よほど高くつく
最初の聞き返しは、心臓バクバクだ。「こんなこともわからないのか」と思われる気がする。でも言ってみると、相手は普通に説明してくれる。そして周りの誰かが、ホッとした顔をしている。
聞き返すのは恥ではない。わかったふりのほうが、よほど高くつく。
筋肉は裏切らない。
会議で自分から発言するための英語は、英語会議で使えるフレーズと筋トレにまとめた。
